収穫レポート 2019年

収穫レポート 2019年

収穫レポート 2018年

タイベリー

2018年の春は暑さが続き雨が少なかったため、タイベリーの畑は水分を失い壊滅的に枯れてしまいました。そのままでは大きな収穫が見込めないことから、工場の裏手に新しく畑を作り2018年6月に植樹しました。 2019年の収穫は、この畑からスタートしています。また2019年6月にも新たに畑を拡張し植樹しているので、2020年は収穫量が大きく改善すると予想しています。
2019年のタイベリーの収穫は、春の長雨と寒さのため6月下旬にスタートしました。収穫の目安は、実が赤黒くなったときです。タイベリーは受粉期間が長く、4週間程度をかけて収穫するので今年は7月下旬まで収穫が続きます。
昨年の干ばつの影響が残る今年は、収穫量を見込めないため、日本での販売再開は2020年秋から数量限定で予定しています。

レッドカラント

同じく自社で栽培しているジュニファー種のレッドカラント(グロゼイユ)は、繊維感がありクリアでシャープな酸味が特徴です。
2019年の春は、受粉の季節に霜が降りるという異常事態が起き、畑が壊滅的な被害を受けました。そのため自社農場でほとんど収穫ができず、ロワール渓谷の契約農家から同種のレッドカラントが届くことになりました。ロワールはラ・フルティエールの自社農場と比べ温暖な気候であるため、この霜の被害を回避することが出来ました。

ラズベリー 「ラ・フルティエールの新たな挑戦」

ラズベリー畑では新たな挑戦がスタートしています。新たにMeco(メコ)種という新しい品種のラズベリーを植え、その収穫が始まりました。ラ・フルティエールらしいピューレを発売したいという思いから、新たな品種を産地限定で栽培しています。2019年は昨年に続き2年目の収穫期を迎えています。
Meco種はMeekerとRose de Côte d'Orの交配種です。ラズベリーは、タイベリーと同じく受粉期間が4週間近くあります。ラズベリーの木を保護するため、収穫は2年に一度行います。1年目の木には受粉させず、2年目の花に受粉させて実をつけさせます。そのため、一つの畑からの収穫は2年ごとになります。東欧では手摘みされるのですが、自社農場では完熟した実をふるい落としながら機械で収穫し、フランス生産における人件費の高さをカバーしています。
ラズベリーは、ラ・フルティエール社が1962年創業時に栽培をスタートさせた思い入れのあるフルーツです。ラ・フルティエールのまさに原点ともいえるフルーツで、アイデンティティーのある商品を生み出せることに喜びを感じています。ラ・フルティエールだからこそ栽培できるラズベリーを、新しく導入した低温高圧殺菌機を用いて収穫期に味わう美味しさをそのままお届けします。

  • ラズベリー畑 2017年 ラズベリー畑 2018年

    <ラズベリー畑 2017年>

  • ラズベリー畑 2018年 ラズベリー畑 2018年

    <ラズベリー畑 2018年>

  • <機械でのラズベリー収穫>

  • <Meco種ラズベリー>

  • <受粉を待つラズベリーの木 2019年>

カシス

ラ・フルティエールのカシスピューレには、繊維感が強く実が肉厚なBlackdown種を主に、新たにAndorine種が採用されています。カシスの現存品種としてはNoir de Bourgogneがとても有名ですが、実が小さく酸味が強いのでアルコール類に適しているのではないかと考えています。ピューレという素材に加工されたときに、最も美味しさが引き出される品種を常に選択しています。カシスも品種改良が進み多くの種が登場していますが、その時々の気候変化なども含めた様々な条件を考慮しながら品種を選定しています。このようにして選ばれた果実を使うことで、まさにラ・フルティエールでセレクション(選定)したオリジナリティーのあるピューレとなるのです。
カシスの樹齢は長くて12年余りです。ラ・フルティエール社の寿命を迎えたカシスの樹は、2016年の冬にすべて切り倒され、2017年の冬に新たな苗木が植えられるはずでした。しかしその冬、ブルターニュでは珍しく雪と雨が続いたため、畑に入れず苗木を植えられませんでした。そのため、現在カシスはすべてロワールの契約農家の畑で収穫されたものがピューレ加工されています。 工場に届けられるカシスは、世界各国の厳しい残留農薬の基準値を厳密に守っています。春先までカシスに肥料などを与えますが、受粉が終わった後は天候がカシスの実を育みます。カシスの実はゆっくりと熟していくと大きくなるのですが、急激に熟すと実が小さくなります。また雨は恵みとなり、果実が水分を十分に吸収して美味しさが増します。2019年は、春先に霜の影響を受けて実の数こそ減少しましたが、雨がよく降ったので大きな実をつけ収穫には影響を与えないと予想しています。
2018年の冬、自社農場ではタイベリーの畑にカシスの苗木を植えました。カシスは植樹から収穫まで3年を要するので、2年後には収穫ができる予定です。工場前に広がるタイベリー畑は、2021年には一面のカシス畑として収穫期を迎えていることでしょう。

洋梨と青リンゴ

8月中旬に収穫を迎える洋梨と青リンゴ。Williams種の洋梨は、香りが高く味わい深いことからフランスで最も美味しいと言われている品種です。GrannySmith種の青リンゴは、すっきりとした酸味が特徴です。カシスと同様に、生産農家として高い信頼を得ている契約農園で栽培され、それぞれピューレ加工に最も適切な時期に収穫されて届けられます。ペアーピューレは、収穫後に洋梨を追熟させてきび砂糖を加えています。グリーンアップルピューレは、収穫後すぐにピューレ加工され、まさに穫れたてそのものが味わえます。
夏は暑く、冬は適度に寒いロワール渓谷の風土が洋梨や青リンゴの栽培に向いているのはもとより、虫や風、暑さや大雨などの自然環境と日々向き合いながら対処していく生産農家の力量が欠かせません。契約農園で生産された洋梨と青リンゴももちろん、ともに世界各国の厳しい残留農薬の基準を通って出荷されています。フランスのリンゴは農薬漬けで栽培されている、と揶揄されることが多いようですが、この農園では減薬農法で栽培し、害虫除去用の器具を設置するなど工夫を凝らしています。