収穫レポート 2020年

収穫レポート 2020年

タイベリー 2020年収穫期

<タイベリー 2020年収穫期>

タイベリーピューレ

2018年から続いているタイベリーピューレの欠品。今年の収穫は、ラ・フルティエール社にとって待ち望んだ収穫期です。
今年の冬の暖冬、そして春先も暖かだったことから、枝の伸び、花の咲きがよく、蜜蜂による受粉がしっかりと行われました。5月初頭も暖かく、実の付きが早かったため、通常より20日ほど早く6月2日から収穫を始めました。
ただ、6月に入り雨が続き、さらに暴風雨の日があり、枝が揺れて実が擦れて傷つき、そのまま湿気のある日々が続いているため実がダメになる(腐る)ことが心配されます。今後天気になれば実が乾くため問題ないのですが、雨が続くとそのまま腐ってしまい、収穫量が減ることが懸念されます。
収穫は6月2日に始まり、手詰みでの収穫にあたっています。今後の天気にもよりますが6月末まで収穫を続ける予定でいます。現在がちょうどピークの時期で、これが10日間ほど続きます。20度以下の日が続いたため、大きめだが雨の影響で糖度が少なくなっています。今後暖かくなれば糖度が改善されて最終的には均質が取れたものとなることを期待しています。また、畑の拡張のために今年新たに植樹をしました。
2020年の収穫量の見込みは、日本の高い需要の全量に応えられるものではなく数量限定となります。(日本での販売再開は、9月から数量限定を予定しております。)

  • 2020年ラズベリー畑

    <2020年ラズベリー畑>

レッドカラント

同じく自社で栽培しているジュニファー種のレッドカラント(グロゼイユ)は、繊維感がありクリアでシャープな酸味が特徴ですが、2019年に続き2020年も春に霜の影響を受けて、レッドカラントの畑が壊滅的な被害を受けました。受粉の季節に霜が降りるような異常事態が起きたことが原因です。
今年もレッドカラントは、自社農場ではほとんど収穫出来ないため、ロワールの契約農家からジェニファー種のレッドカラントが届く事になりました。
ロワール渓谷は、ラ・フルティエールの自社農場と比べ温暖な気候であることからこの霜の被害を回避することが出来ました。

  • <機械でのラズベリー収穫>

  • <MECO種ラズベリー>

ブルターニュ産ラズベリー

2019年秋より日本でも発売を開始したブルターニュ産ラズベリーピューレ。MECO種という新しい品種のラズベリーを植え育て始め3年目の収穫を迎えます。ラ・フルティエールらしいピューレを発売したいという思いから新たな品種を産地限定で栽培することにして2年。2020年は6月18日より収穫を始めます。
MECO種はMEEKERとRose de Cote d'Orの交配種です。MECO種のラズベリーについてラ・フルティエール社では2年に一度収穫を致します。
1年目は芽を出したフランボワジエ(フランボワーズの木)は、2年目に花をつけ受粉し実をつけます。一つの畑からの収穫が2年ごとになるということです。ラズベリーは東欧では手摘みされるのですが、自社農場では完熟した実を篩い落としながら機械で摘んでいき、フランスで生産する人件費の高さをカバーしております。ラズベリーは、ラ・フルティエール社が1962年創業時に栽培をスタートさせた果実です。
ラ・フルティエールのまさに原点ともいえるラズベリーで、アイデンティティーのある商品が作れる事に喜びを感じております。そして、この私たちでしか作れ得ないMECO種のラズベリーを私たちが導入した新技術高圧殺菌を用いて、収穫期に味わう美味しさをそのままにピューレを作りました。

カシス

ラ・フルティエールのカシスは、繊維感が多く実が肉厚なBlackdown種を主に新たにAndorine種のカシスを加えています。
カシスでは、ノワール・ド・ブルゴーニュが昔から現存する品種でとても有名ですが、実が小さく酸味が強いのでお酒にむいた品種ではないかと私たちは考えております。ピューレという素材になったときに素材として美味しい品種を私たちは常に選んでいます。
カシスも品種改良が進んでおりその時々に、天候なども受け品種選びをしております。
そうして私たちが選んだ果実で作るピューレは、まさにラ・フルティエール社でセレクション(選定)したオリジナリティーのある美味しさではないでしょうか。

カシスの樹齢は長くて12年余りです。ラ・フルティエール社の寿命を迎えたカシスの樹は、2016年の冬にすべて切り倒され、2017年冬に新たな苗木を植えるはずでしたが、2017年はブルターニュでは珍しい雪と雨が続いた為、畑に入ることが出来ず畑に苗木を植えることが出来ませんでした。
現在カシスは、すべてロワールの契約農家の畑で収穫されたものが届きます。私たちの元に届くカシスは、世界各国の厳しい残留農薬の基準値を厳密に守っています。
春先までカシスに肥料などを与えますが、受粉が終わった後は天候がカシスの実を育みます。カシスの実は受粉後ゆっくりと熟していくと大きくなりますが、急激に熟すと実が小さくなります。また雨は恵みとなり、果実が水分を充分に吸って美味しさが増します。2019年は、春先に霜の影響を受けて実の数こそ減少しましたが、雨がよく降ったので大きな実をつけることが予想されており、収穫には影響がないだろうと考えております。
2018年冬、自社農場ではタイベリーの畑にカシスの苗木を植樹致しました。カシスは、植樹から収穫まで3年を要しますので、2年後収穫ができる予定です。工場前に広がる一面のタイベリー畑は、2021年には一面カシスの畑として収穫期を迎えていることでしょう。

8月中旬に収穫を迎える洋梨と青リンゴ

ウイリアム種の洋梨は、香りが高く味わい深いフランスで最も美味しいと言われている品種です。
グラニースミス種の青リンゴは、すっきりとした酸味が特徴です。
カシスと同じく、生産農家として高い信頼を得ている契約農家の畑で栽培され、それぞれピューレ加工に最も適切な時期に収穫されたものが届きます。
ペアーピューレは、収穫後に洋梨を追熟させてきび砂糖を加えています。
グリーンアップルピューレは、収穫後すぐにピューレ加工され、まさに穫れたてそのものが味わえます。
夏は暑く、冬は適度に寒いロワールの風土が洋梨や青リンゴの栽培に向いているのはもちろん、虫や風、暑さや大雨などの自然環境と日々向き合いながら対処していく生産農家の力量が欠かせません。この畑の洋梨と青リンゴも、もちろんともに世界各国の厳しい残留農薬の基準を通って出荷されています。フランスのリンゴは農薬漬けで栽培されている、と揶揄されることが多いようですが、この農園では減薬農法をとり、害虫除去用の器具を設置するなど工夫を凝らしています。